新人が語る心に残る看護場面
2022.06.01 シャワー浴
下肢バイパス術を行うNさんが入院されました。Nさんはすでに片足を切断していて、もう一方の下肢の血流が悪く手術を行うこととなったのです。手術前日、私はNさんの受け持ちで、Nさんの術前処置目的でシャワー浴を行いました。Nさんは、介助者1人の支えがあれば立位が保持できており、ほぼ毎日入浴されていました。
Nさんは手術をしましたが、術後バイパスが詰まってしまい片足切断を余儀なくされ、両下肢切断した状態となりました。Nさんは疼痛や自分の身体の変化だけでなく、自力で行えることが減ってしまったことについてショックを受けていました。
そんなとき私がNさんを受け持ちました。するとNさんは「手術の前日、あなたに手伝ってもらってシャワーを浴びることができて本当に良かった。両足がないと、お風呂にも入れない。最後にあなたのおかげで気持ちよく手術にむかえた。ありがとう。」とおっしゃいました。私は手術前日、清潔保持をする目的で医師からの指示に沿ってシャワー浴を行ったのです。しかしNさんにとって清潔保持の目的だけではなく、気持ちの良いケアだったのだと気づきました。
私はNさんとの関わりから、指示に従うだけでなく、患者さんにとってどのような意味を持つのか考えないといけない、丁寧であたたかいケアをしていきたいと改めて思えた瞬間でした。