新人が語る心に残る看護場面
2022.06.01 1時間
悪性リンパ腫で入院されていたEさんについてです。Eさんは中枢神経まで腫瘍が浸潤しており、体も思うように動かせずにいました。夜勤でEさんを受け持ち、2時間おきの体位変換と下肢の曲げ伸ばしをしてマッサージをしました。Eさんは、そのたびに痛くて辛そうな表情を浮かべていました。朝になり検温のためEさんの部屋を訪ねました。Eさんから「コンビニのコーヒーが飲みたいから一緒に行ってほしい。」と言われ、私は「少々お待ちくださいね。」と伝えました。私はすべての検温を終え、配膳の前の時間で一緒に車いすで行こうと考えていました。しかし、他の患者さんへのナースコールの対応が重なってしまい、気づくと配膳車がすでに到着していました。Eさんと約束して1時間が経ってしまい、私はEさんの部屋を訪ねました。Eさんは私を見るなり、「何分待たせるんだ。食事が来てしまうよ。」とおっしゃいました。私は謝罪し急いで準備をして、Eさんと車いすでコンビニに向かいました。途中、Eさんが「さっきは強くあたってごめんね。朝にコーヒーを飲むことが好きなんだ。」と伝えてくださいました。
多くの業務の中で、患者さんとの約束を守るために「〇分後でも良いですか?」ときちんと時間を決めることが重要だと学びました。また私にとってはあっという間の1時間でしたが、Eさんにとってはその1時間は待ちわびながら、でも看護師が来ないことに大きな不安を抱えてしまう時間だったと気づかされました。このEさんとのエピソード以降は、患者さんとの約束を守れるよう、患者さんと一緒に時間を決めることを意識して行動しています。