新人が語る心に残る看護場面
2022.07.29 患者さんの思いに気づく
顎下腺がんに対して化学療法目的で入院されていたAさん。朝のウォーキングカンファレンスで私が「今日は身体拭きとシャワーどちらにしますか。」と伺うと、Aさんから「シャワー入ってもいいのですか?」と質問がありました。シャワーは可能だということを伝えると、Aさんから「もう少し考えてもいいですか」と返事がありました。その後、Aさんの元を訪ねたときに再度シャワーの実施について伺うと、Aさんから「自分で頭を洗うのが大変なんです。それに時間が30分間って決められているから、それまでに終わらせられるか心配です。」と話されました。自分で行うのが難しいことは、看護師が手伝うことを伝えると、Aさんは「じゃあお願いしてもいいですか?」と申し訳なさそうにおっしゃいました。
シャワーの時間になり、洗髪の介助を終えると、Aさんは私の手を握りながら「ありがとう。こんなに親切にしてくれて。看護師さんたち忙しいと思って、今まで手伝って欲しいって言えなかったの。お願いしてよかった。」と涙を流しながらおっしゃいました。Aさんは心の中でシャワーに入りたいと思っていたけれど、看護師に迷惑をかけてしまうのではないかと葛藤していたんだと思います。Aさんとの関わりを通して、忙しい中でも患者さんと向き合って、言葉にできない思いに気づくことができる看護師でありたいと思いました。