新人が語る心に残る看護場面

2022.09.13 言葉

 

右下葉肺がんで入院されていた外国籍のAさんについてです。Aさんのがんは複数の臓器に転移しており、疼痛の訴えも多く聞かれました。疼痛は特に夜間帯に強くなり、レスキュードーズを使用することも数多くありました。Aさんを初めて受け持つことになった日は、言葉が通じるのか不安でたまりませんでした。しかしAさんは単語ではありますが、ご自分の思いを日本語で一生懸命伝えてくださり、私の言葉も理解されている様子でした。その時私は、Aさんに対してどのように接したらいいのか、どう言葉を伝えたらいいのかと、自分のことばかり考えていたことに気づきました。Aさんの方が、よっぽど不安で辛くてたまらなかっただろうということ、言葉もわからないところで入院し、疼痛は日に日に増強しているということ、これから先の自分はどうなるのだろう、といろいろなことを考えて不安でいっぱいだったと思います。

Aさんは日に日に状態が悪くなり、口から摂取していた水分も誤嚥することが多くなっていきました。Aさんは「のむと、せきでる」とおっしゃって、私に実際にむせこむところを見せて「どうしたらいい?」と尋ねてきました。私は「とろみをつけましょうか」と提案しましたが、Aさんは首をかしげました。実際にとろみをつけたものを用意したところ、安心したようにAさんが頷いた顔は、今でも忘れられません。言葉がわからなくても、相手に伝える方法はあること、相手を理解しよう、理解したいという思いは相手にも伝わるということを感じた瞬間でした。

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