新人が語る心に残る看護場面
2022.09.13 寄り添うということ
小学校1年生の双子のお母さんであるAさんが、原因不明の意識障害で入院されました。Aさんは脳ヘルニアが進行して、生命の危機状態でした。医師からご家族へ余命について説明の後、ご家族の面会に同席したときのことです。Aさんの夫は、お子さんたちの声を録音したメッセージをAさんの耳の近くに持っていき、お子さんたちの声を聞かせてあげていました。そしてAさんのお母さんは涙を流しながら、ずっとAさんのお顔をなでていました。私は何と声をかければいいのかわからないと思いながら、AさんとAさんのご家族の様子を見て一緒に泣いてしまいました。
面会が終わった後、私は看護師らしく家族に寄り添える声かけができればよかった、と後悔しました。しかし先輩から「患者さんと一緒に泣くことは悪いことじゃないよ。良いことだと思うよ。」と声をかけてもらいました。
看護師として、患者さん・ご家族の前ではきちんとした姿でいることも大切だと思いますが、時には家族の感情に寄り添い涙を流すのも悪いことではないんだな、と気づかされました。