新人が語る心に残る看護場面
2022.09.30 向き合うこと
Aさんは元々意識レベル低下や構音障害があり、意思疎通が難しい患者さんでした。入院経過とともに、発語が増えてきましたが私はうまく聞き取ることができませんでした。忙しい業務の中で誠実な対応が取れなくなってしまったこともあります。Aさんは次第に少し声を上げたり、体を動かしたりして訴えることが増えるようになりました。そこでAさんから話を聞く時間を作りゆっくり向き合っていくと、話しづらい状況下でも、きちんと思いを伝えてくれていたんだということに気づくことができました。Aさんの発言には一つ一つ意味があるのだと改めて思ったのです。それ以後は「トイレに行きたい」「喉が渇いた」「疲れた」など何か訴える様子や行動したい様子があったら、初めから否定せず、Aさんの希望を聞いて対応していきました。するとAさんは声を上げるようなことがなくなり、落ち着いた様子を見せるようになっていきました。
意思疎通が難しい方はたくさんいらっしゃいます。でも伝えたいことは言葉でなくても、推し量ることができます。私は忙しさのせいにして、患者さんの思いを知ろうとしていなかったのです。私たち看護師が患者さんと向き合うことの大切さに気付かされ、反省しました。忙しい中でも、患者さんと向き合える看護師になりたいと思いました。