新人が語る心に残る看護場面

2022.09.30 私の目指す看護

初めての手術を行うAさんの入院を受け持ちました。Aさんは少し心配症の方で、今回の入院と初めて手術を行うことに対してとても緊張している様子でした。入院当日、医師からの説明や術前処置があり、Aさんと関わる時間が長く、緊張している様子を感じた私は、これからの入院生活の流れや術後の状態などを、わかりやすく説明しました。そうするとAさんは少しホッとしたような表情を浮かべて、「ありがとう。手術に行く時もあなたについて来てほしいわ。」とおっしゃってくださいました。

手術当日も、Aさんの受け持ちをすることになりました。朝、Aさんの元にあいさつに伺うと、手術着に着替えて不安そうな表情で座っているAさんの姿がありました。私が声をかけると、「良かった。今日も一緒なんだね。よろしくね。」と笑顔で話しかけてくれました。その後は手術室まで見送り、手術前とは違う部屋に帰って来たので、受け持つ機会はなくなってしまいました。

数日後、点滴棒を押しながら付き添い歩行で歩いているAさんを見かけました。「手術お疲れ様でした。以前担当した〇〇(私)です。頑張られていますね。」と声をかけました。すると「あら、久しぶり。頑張るよ。」と笑顔で答えてくれました。その後も病棟で会うと「今日はもう3周歩いてるよ。」「ご飯始まったよ。」と、回復ぶりを日々教えていただくようになりました。退院の際には立ち会うことはできませんでしたが、「〇〇(私)さんによろしく言っておいてね、って言っていたよ」と担当の看護師から教えてもらいました。私はとても心が温かくなりました。

私の病棟は外科病棟なので、手術をされる方が多く、手術室へ送り出すこともたくさんあります。私たちは業務の一環として慣れてしまうことがありますが、患者さんにとっては人生の一大イベントであり、莫大な恐怖と不安を抱えているということを思い出させてくれた関わりでした。またその際の不安の思いの傾聴も、忙しい毎日の中でも患者さんにしっかり寄り添うこと、それが私のやりたい看護なんだなと改めて気付かされました。まだ1年目ですが、患者さんからすると、みんな同じ看護師です。その方の一大イベントに関わる上で、責任感を持って一人一人との関わりを大切にしていきたいと思いました。

バックナンバー

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