新人が語る心に残る看護場面

2024.08.15 聞くという看護

 Aさんは軽度の認知症があり、入院生活が長引く中、寂しさや不安からナースコールを頻繁に押している時がありました。ある日の夜勤、Aさんのナースコールが鳴り訪室すると、点滴のルート気にしながら、寂しそうな表情で「これはなに?家族はまだ来ないの?」と質問されました。毎回のように同じ質問をされ、その度にルートのことや、夜のためご家族は会いに来られないことを説明し病室をあとにしました。それからしばらく経過し、ナースコールが鳴り訪室すると、Aさんが「あのね」とふと昔の家族の話を始めてくれました。私はただ、そんな事があったのですね、素敵なご家族ですね、お父さん優しかったんですねと頷きながら話を聞いていました。Aさんは昔のことを思い出しながら、時より涙を浮かべたり、笑顔で楽しそうに話したりと普段よりも表情豊かに話していました。その後ベッドへ戻り、再び点滴のことを説明すると、Aさんは穏やかな表情で説明を聞き、「いつもすみませんね、ありがとう」と言われ、その後はしばらくナースコールが鳴らず、眠られている様子でした。

 Aさんとの関わりを通して、話を聞くことで気持ちを落ち着かせることができると学ぶことができました。このことから患者さんの話に耳を傾け、思いをくみ取り、安心を提供できる看護師を目指したいと思いました。

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