私たちのめざす看護

私たちの看護

2026.07.23

「ひとりで悩まずいつでも相談を」・がん相談支援センターの役割

 みなさんは「がん相談支援センター」をご存知ですか?全国のがん診療連携拠点病院に設置が義務付けられている「誰もが無料で受けられるがんの相談窓口」です。病気や治療のこと、医療費や制度のこと、仕事のことなどがんに関する様々な相談をお受けしています。がんと診断された時、治療が変更になった時、治療が難しくなった時など患者さんやご家族は様々な不安に直面します。そんな時にお話を伺い、状況を一緒に整理し、どのような行動をとればいいのかを共に考え、支えることが相談員の役割です。 

 ある日のことです。医師から「診察の様子だと病院に来なくなりそうで心配な方がいるんだけれど、話しに来てもらえない?」と連絡がありました。外来に行ってみると、待合室の椅子にAさんが座っていました。医師からがんであること、手術が必要なこと、手術をするために詳しい検査を予定すると話があり、「検査も手術もしたくない」と黙ってしまったそうです。Aさんに声をかけると、震えた目からは涙があふれそのまま下を向いてしまいました。しばらく隣で待っていると、消え入りそうな声でもともと病院が苦手なこと、お母さまをがんで看取ったこと、「がんなんだ」と怖くなったと話して下さいました。その日は病院に居ることさえも辛いと話されたため、検査を1つだけ、そして次に来た時にこれからのことを相談しましょう、とお伝えし帰宅されました。 

次の外来には約束通り来院され、なぜ検査が必要なのか、手術ができることの意味、術後の経過をイメージできるようお話しし、Aさんやご主人の心配や疑問に1つ1つお答えしました。また、Aさんの思いを医師に伝えることで、医師もAさんのペースにできる限り合わせて術前準備を組んでくれました。やりとりを繰り返す中でAさんは自分の思いや治療への希望を伝えてくれるようになりました。

入院当日、病室を訪ねると髪をばっさりと切ったAさんがいました。「もう、ここまで来たら、やるしかない。夫1人だと心配だから、早く退院しないとね」と力強いまなざしからはAさんの「覚悟」が伝わってきました。

患者さんは何かしらの「強み」を必ず持っています。持てる力に相談員としてどう気付けるか。「がんという人生の一大事に直面した患者さんやご家族が孤立せず、納得した意思決定ができ、自分らしく生きていけるよう」その伴走者になれるよう、関わりのその時その一瞬を大切にしたいと考えています。

 

がん相談支援センター 増藤 亮子 

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