私たちのめざす看護
私たちの看護
2026.06.01
患者、家族が求めるケアを目指して
救命救急病棟2は、生命の危機に直面している患者を24時間体制で受け入れ、迅速かつ的確な医療 が必要な患者が入院対象となる部署です。ユニット数は12床で、看護師配置は2:1となっています。患者は、重症外傷、急性心疾患、脳血管疾患、心肺停止など多岐に渡り、一刻の判断や処置が生命予後に大きく関わる疾患が多いため、看護師には高度な観察力と判断力が求められます。そして医師、薬剤師、栄養士、理学療法士など多職種との連携が必要不可欠なケアユニットです。実際に当ユニットでは、限られた時間の中で患者の状態や今後必要となる治療、ケアについて各専門職の視点を共有するため、カンファレンスを実施しています。
救命病棟に入院する患者の多くは急激な発症による、予期せぬ入院となります。そのため患者は身体的、精神的苦痛が伴います。意識障害により意思疎通が困難な患者も少なくありません。コミュニケーションが取れない患者に対しても、「何に苦痛と感じているのか」を常に考えながら日々の看護を実践しています。また、患者を支える家族も大きな不安や苦痛を抱えています。そのため、家族への心理的支援も救命領域における看護師の重要な役割のひとつであります。面会時には、患者、家族が現在の病状や治療内容をどの程度理解できているかを確認し、わかりやすい言葉で説明することを大切にしています。近年、私たちが重要視しているのが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。ACPとは人生の最終段階で受ける医療やケアについて、患者本人と家族などが医療従事者と話し合い、自身の価値観や望むケアを共有するプロセスのことです。
実際に私が関わった事例として、高度な大動脈弁閉鎖不全症を有した心不全患者の治療選択時に医師からの最善策として手術が提示されました。私は患者が手術した場合、そうでない場合の情報提供、患者、家族の訴えを傾聴し、精神的ケアを実践していました。患者本人は高齢であり、手術に伴う過大侵襲や術後のリハビリテーションなどを考慮し、手術は選択しない判断をされました。患者からは「余生を楽しみたい」と言う思いが聞かれ、家族も本人の意思を尊重したいとの判断でした。
高齢化が進む現代の医療現場では、急性期治療と並行して緩和的治療も考えていく必要があります。そのような中で、ACPを活用することは、患者・家族が望まない過度な医療を未然に防ぎ、その人らしさや尊厳を守ることにつながると考えます。医療やケアに対する価値観が多様化している現代において患者ひとりひとりの尊厳を尊重するためにも、ACPの普及と実践は今後さらに重要になると考えます。
久保 勝太
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