私たちのめざす看護
私たちの看護
2024.01.23
大切な治療だからこそ安全と安心を提供するために
当院の血液浄化療法室では、血液透析をはじめ、血漿交換・血漿吸着療法・腹水ろ過濃縮再静注法(CART)などを行っています。血液透析では、普段クリニック等で維持透析をしている患者さんが、検査や手術を目的として入院した際の透析の継続、また腎機能が低下して新たに透析が必要となった患者さんへの導入時の指導や支援を行っています。
末期腎不全になり、腎代替療法として血液透析を選択した場合、一般的に週3回、1回4~5時間の治療が行われます。健康なわたし達の腎臓は絶え間なく活動していますが、透析患者さんの腎臓はこの治療の時間に一気に働くことになります。そのため、蓄積された水分を数時間で除水することで血管内水分量の低下による血圧低下が起こりやすくなります。また、検査・治療・手術を行っている患者さんは、術後の侵襲や感染兆候が原因による血圧低下の可能性があります。このように透析中は、患者さんの状態に変動が起きやすく、血圧低下がないか、気分が悪くなった人はいないかなど、注意深く観察することが必要です。わたし達は、少しでも血圧低下を予防して透析治療を安全に行うために、今年度から医師と看護師で毎日ミニカンファレンスを実施しています。治療終了後にその日血圧低下をきたした患者さん1人ずつに対して、病態や基礎疾患、血液データ等から原因のアセスメントを行い、次回の透析日の除水量の調整や薬剤使用等を検討しています。
また、血液透析にはバスキュラーアクセスという患者さんの血液を体外に出し、機器を通して体内に戻すという経路が必要になります。バスキュラーアクセスの種類には、内シャントや表在化動脈、透析用カテーテルなどがありますが、内シャントと表在化動脈は透析用留置針を毎回2か所穿刺しなければなりません。患者さんの中には穿刺が難しく、「クリニックでもいつも何回か刺されてしまう」とおっしゃる方がいます。そのような患者さんに対して、エコー下での穿刺を臨床工学技士と看護師が一緒に始めました。エコーで血管の画像を見ながら穿刺することで、穿刺困難な患者さんに対しても、安全・安心に穿刺ができるようになりました。まだ、数名のスタッフしか実施できませんが、医師の指導を受けながら学びを深め、全員が実施できることが目標です。
血液透析は基本的には生涯続けていかなければならない治療であり、一回でも欠かすことができません。患者さんにとって、大切な治療だからこそ安全と安心を提供できるよう努力していきたいと思います。
血液浄化療法室 田中隆一
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