新人が語る心に残る看護場面

2019.10.17 あなただから

口蓋がんで放射線治療を受けている女性のBさんを受け持ちました。約1か月にわたる放射線治療で口腔内、頸部に放射線皮膚炎を生じていました。それにより疼痛、嚥下障害が生じていました。 私はBさんを受け持つ機会が多く、日々悪化していく皮膚障害に対し、痛みの訴えを聞き、皮膚の洗浄、軟膏の塗布などのケアを行っていました。

放射線治療が終了して何日か経過したある日、いつものように検温に伺うと、「いつになったらこれは良くなるの。こんなに治らないなら死んだほうがいいよ。痛くて痛くてご飯も食べられないし、夜も眠れないの。早く死んじゃいたい。」と訴えました。長い放射線治療が終了した後も痛みは治まらず、食事ができないことに落ち込んでいる様子がうかがえました。私は自分なりにBさんに寄り添い、話を聞いてきたつもりでしたが、私はBさんの言葉に何も答えることができませんでした。

Bさんの言葉を先輩に相談すると、私と一緒にBさんの話を聞いてみることになりました。先輩とBさんが会話を進める中で、Bさんが「この子は優しいから、つい言っちゃったの。なんでも聞いてくれるから。こんなに治療が辛いと思わなくて。この子だから言ったの。」とおっしゃいました。私は、自分は何もできていないわけではないんだ、辛い気持ちを表出できる相手になったんだ、と気づきました。

看護師は患者さんを受け持ち、会話をしていく中で治療に対する思いや辛さを受け止める役割、思いの表出ができる場を作る役割もあるのだと学びました。患者さんの思いに寄り添った看護ができるように、患者さんとよりよい関係を築いていきたいと思いました。

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