新人が語る心に残る看護場面
2026.05.11 伝えたい思いに寄り添う看護
アテローム血栓性脳梗塞により運動性失語を呈した患者さんを担当しました。入院当初、患者さんは発語がほとんどできず、問いかけに対しても小さくうなずくか、表情を変えるだけでした。病室には、伝えたい思いがあるのに言葉にできないもどかしさが漂っているように感じられ、私はどのように関わればよいのか戸惑いを覚えていました。
ナースコールの使用も難しく、訴えを十分に理解できていないのではないかという不安を抱えながら、フェイススケールや〇×シート、イラストを用いて一つひとつ確認する関わりを続けました。患者さんが指差しで必死に気持ちを伝えようとする姿を見たとき、「この方の思いを受け止めたい」と強く感じました。
関わりを重ねるうちに、患者さんの表情は次第に和らぎ、ある朝「おはよう」と小さな声が聞こえた瞬間、胸が熱くなりました。「トイレ」という言葉が出た時には、患者さんと目を合わせて喜びを分かち合い、病室の空気が明るくなったことを今でも覚えています。
この経験を通して、言葉だけに頼らず、小さな反応に寄り添うことが、患者さんの安心と回復につながる看護であると学びました。今後も患者の伝えたい思いに耳を傾け、信頼関係を大切にした看護を実践していきたいです。