新人が語る心に残る看護場面

2020.10.12 名前

入職して2か月目頃のことでした。入院が長くなっていたAさんがいました。もちろん私のことを「新人」とわかっています。私がAさんと接するときには「お前じゃだめだ。何にもできねぇんだから、先輩を呼んで来い。先輩を。」と、いつも言われていました。私は私なりに、日々その人の疾患を勉強しケアの順序を工夫しながら業務を行っていましたが、そのたびに言われ続けていました。次第に私は嫌になり、Aさんの受け持ちの日はAさんと接したくない気持ちが大きく、ストレスとなっていきました。先輩に相談し、Aさんとの接し方やAさんの性格を教えていただき、嫌な気持ちを抑えて積極的にコミュニケーションをとるように努力しました。すると、少しずつではありますがAさんは自分のことを話すようになり、私もAさんに対する嫌な気持ちはなくなっていきました。そして気が付くと、Aさんと自然に接することができていたのです。Aさんの退院の前日、Aさんから「お前、頑張れ。一番になれ。」と私におっしゃいました。

数カ月後、Aさんが再入院となりました。私が受け持ちになり、挨拶に伺うと「おう、○○(私の名字)か。まだいたのか。頑張ってるな。新人の中で、お前だけ名前覚えたぞ。」と言ってくださいました。その言葉を聞き、私の中で何か込み上げるものがありました。

接するのが嫌だから関わりをやめるのではなく、積極的にコミュニケーションをとり、その人を「知ろう」という態度を示すことの大切さを学びました。

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