新人が語る心に残る看護場面
2026.10.16 患者のニーズに応える看護ケア
私は、イレウスで手術した90代のA患者さんを担当しました。Aさんは手術後、人工呼吸器から離脱できたものの、呼吸状態が不安定のためネーザルハイフローを装着していました。Aさんは、頻呼吸により口渇感を強く訴えていましたが、誤嚥の可能性があることから飲水は禁止されていました。そのため、口腔ケアの回数を増やしたり、ガーゼで口腔を湿らせる対応を行っていました。私は高齢であるAさんにとって、今後どのような療養生活が望ましいか、本人や家族の思いを踏まえて考える必要があると思いました。
私が担当している時、Aさんは「口を湿らせてほしい」と繰り返し訴えていました。私はAさんにとって、口渇が大きな苦痛となっていると感じました。Aさんに「何か飲みたいものはありますか」と尋ねると、「コーヒーが飲みたい」と話されました。医師に相談すると、コーヒーで口腔を湿らせて良いと許可してくれました。家族には、医師の許可を得ていること、Aさんの希望であることを伝え、コーヒーの購入をお願いしました。そして、コーヒーを含ませたスポンジブラシで口腔内を湿らせました。当初、家族は不安そうにしていましたが、何度もAさんがコーヒーを希望される様子を見て、家族は涙を流しながら「嬉しそう、ありがとうございます」と話されました。
この経験から、病態や治療だけでなく患者の苦痛や望みに目を向け、その人らしい療養を支えることの重要性を学びました。看護師は患者に最も近い存在として小さなニーズを捉え、多職種や家族と共有しながらケアにつなげる役割があると実感しました。