新人が語る心に残る看護場面

2018.09.03 説明だけではだめ

治療のために沢山の薬を飲んでいるAさん。ある日私は、食後の薬を内服したことを確認するためにAさんの所に伺いました。Aさんはまだ内服しておらず、私は何の疑問も持たずに「また確認しに来ますから、忘れずに飲んでくださいね・」とだけ言い、Aさんおもとを去りました。
30分後に伺っても、内服されていませんでした。私は心の中で『早く飲んでくれないかな。何で飲んでくれないのだろう。いつもは飲んでくれるのに。』と思ってしまいました。
「お薬ありますよ」とAさんに声をかけた時、私はAさんの暗い表情にやっと気づきました。「どうしました?ご気分悪いですか?」と尋ねると、「薬飲みたくないの。この薬まずいし・・・。」とAさんは答えました。私はとにかくAさんに納得してもらおうと思い、一生懸命薬の説明をしました。Aさんは暗い表情のまま「そうなの・・・。」と言って、私の目の前ですべての薬を飲んでくれました。
しかし、Aさんの表情が暗かったことが気になり、私はこのことを先輩に相談しました。先輩は「一緒に話を聞いてみよう。」と言い、一緒にAさんの元へ行きました。Aさんは薬が沢山あり飲むだけで疲れてしまうこと、漢方薬を飲むと悪心が出てしまうことなどを話してくれました。Aさんと相談しながら先輩と飲み方を考えました。次の内服時に試してみると「こっちの方が飲みやすい気がする。」と、表情も元通りになっていました。私は、『薬を飲むことなんて簡単なこと』と思っていましたが、それが辛い患者さんもいるのだと分かりました。

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