新人が語る心に残る看護場面

2018.12.04 回復力

私がAさんに出会ったのは、胸から腰までのコルセットを巻き、ベッドに斜めになって臥床している時でした。ご挨拶すると、分かっているのかいないのか反応が乏しく、どこかを見つめゆっくりと頷いていました。腰椎圧迫骨折のため入院当初はベッド上安静が必要でした。トイレ以外はベッド上で過ごすため、入院生活を過ごすにつれ認知機能が低下してきました。トイレでも手足をどう動かせばいいのか分からず、寝衣を尿で濡らしてしまったり、トイレットペーパーをいつまでも触り「拭く」という事も分からない状態でした。食事をするときも筋力が低下し、口まで食べ物を運ぶことが出来ませんでした。私はAさんが元の通りの生活が送れるのかとても心配でした。
しかし、病状も安定しリハビリも開始されると、座位保持が可能になり、さらに自力歩行もできるようになりました。私が「スムーズに歩けるようになってきましたね。」と言うと「そうかい?それは良かった。」と返事があり、たわいもない会話の中でも、ユーモアのある発言をされ、段々とAさん本来の姿が見えてくるようになりました。食事もトイレも自立し回復してきた姿が目に見えました。ADLが拡大することは認知力の回復にとても大切なことだと実感し、人間の回復力を学んだ出来事でした。

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