私たちのめざす看護

私たちの看護

2019.10.17

その瞬間毎に心を込めた看護を目指して

当院は、2008年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受けており、八王子市をはじめとした南多摩地域のがん診療における中心的な役割を担っています。わが国では、毎年新たに90万人もの人が、がんの診断を受け、日本人の二人に一人が生涯で一度はがんになるといわれています。“がん”は急速に、誰にとっても身近なものになりつつあります。

私は、消化器外科病棟で勤務しており、主に胃がんや大腸がんといった消化器系のがん患者さんの看護に携わっています。治療の成果を患者さんと一緒に喜ぶこともあれば、思うようにならない身体に苛立つ患者さんの葛藤に辛抱強く寄り添う事もあります。そして、患者さんの最期をご家族と共に看取ることもあります。

多くのがん患者さんの看護に携わり、大切にしたいと考えているのは、「その瞬間毎に心を込めて寄り添うこと」です。がん治療の技術の進歩に伴い、5年生存率は上昇傾向にあります。しかし、多くの患者さんは“がんになった”という事実に衝撃を受け、これからの生活に漠然とした不安を抱えながら、治療選択や就労を含めた経済的課題、周囲との関係の変化など、多くの課題に臨まなくてはなりません。しかし、入院期間の短縮化によって、私達病棟の看護師が患者さんやご家族と直接関る時間は減りました。“患者さんやご家族の思いにゆっくりと寄り添う時間が欲しい”と願う場面は多くあり、同じ願いを持つスタッフも多くいます。

しかし、ただ時間があればよいのかというと、そんなことはありません。大切なのは、関る時間の長さではなく、患者さんやご家族に心から関心を寄せて、その場面、その瞬間に関ることができたか、ということだと思います。たとえ数分であっても、患者さんやご家族を大切にする姿勢を忘れずに関る。些細な事だけれど、看護師としての基本的な姿勢、その地道な繰り返しの過程で、患者さんやご家族との信頼関係が築け、悩みにも寄り添うことができるのではないでしょうか。

がん患者さんの看護では、自分達の看護はこれでよいのだろうかと、悩む場面もありますが、患者さんやご家族が様々に表現する辛さや痛みも含めて、サポートできるよう、多職種と協力して看護をしています。

 

B3W がん看護専門看護師 本田彩

 

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